だれよりもやる

ころちゃんの雑記

技術書典4へ応募して完売するまでの軌跡

技術書典4 お疲れ様でした! 初めてサークル出展して、ありがたいことに完売御礼することができたので、その軌跡を思い出しながら書こうと思います。

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実は当日はアイコンと同じ服だったんですよ。

TL;DR

  • Auth0の本を書いたよ
  • アウトプットのために書いたよ
  • 出版に関する知識がなかったけどなんとかなったよ
  • Re:VIEWで書いたよ
  • 価格設定に一番悩んだよ
  • ちゃんと宣伝したら被チェック数が245まで到達したよ
  • 完売したよ
  • BOOTHで電子版を販売しているよ
  • 自分の今を書くのだ

どんな本を書いたか

IDaaS(Identity as a Service)の Auth0 (オースゼロ)で遊ぶ本を書きました。

techbookfest.org

Auth0はWebアプリケーションに認証機能を組み込みたいけど難しい・・・を解決してくれるサービスです。 もともとアプリケーションの認証・認可周りを素早く実装することに興味があって、 Firebase AuthenticationだとかAWS Cognito, AWS Amplifyあたりを試してウゴウゴしていたときに、このサービスに出会いました。 認証機能を組み込んだアプリをフロントからバックエンドまで一貫して作るような情報が少かったり、 そもそもAuth0自体の日本語の情報も少ない状態だったので、せっかくだし本にしようと思って書きました。

技術書典に出そうと思ったきっかけ

  • 同人活動に興味があった。
  • 会社の同僚が技術書典3に参加していて、とても楽しそうだった
  • 素振りを繰り返して、結果をまとめるのに良いタイミングだった。

あたりが大きな理由です。

Misocaという会社に勤めているのですが、 社内から技術書典3は2サークル、技術書典4では4サークルの出展がありました。 田舎.fmでもちょっと話題になってましたね。 みんなそれぞれのサークルで、好きな本を書いて出しています。

本として書く目的

とにかくアウトプットが目的で書きました。 実際、落ちたらどっかのサークルに拾ってもらおうと思って、当選発表前から執筆を初めています。

アウトプットが目的ならブログでもいいんじゃないの?って話は実際あるんですけど、 前述したきっかけに加えて「同人誌として出す」ドキドキ感を味わいたかったのです。

また、岐阜のド田舎に住んでいるので、 東京でアウトプットするという機会を捻出したかったというのもあります。 なぜ東京か?と問われるとリアルで話を聞いてツッコミを入れてくれるエンジニアの多さでしょうかね。 実際にイベントを終えてみて、物理本を手渡しできる人の多さというのは、大きなモチベーションアップに繋がりました。

東京では連日沢山の勉強会が開催されていますが、5分のLTをするのに新幹線を使って平日片道4時間は正直辛いので、 壮大(?)なアウトプットの方法としての同人誌は良い手段でした。

このあたりは地方で働くエンジニアの苦しいところでしょうか。 技術で解決していきたい問題でもあります。

出版に関する知識はなかった

今回サークル初参加でしたが、応募時点で出版、DTPの知識が皆無でした。 卒論と修論LaTeXで書いた程度です。

そこで助けになったのがいわゆるワンストップ本でした。 この本にはノウハウが詰まってます。次回技術書典に出展したいと思ってる人は、とりあえずこれを読みましょう。 「技術同人誌を書く本」であって「技術書典のための本」ではないのは注意です。同人イベントはコミケとかもありますんで。

感想は以前にもブログで書きました。この記事を書いたのは当選発表前ですね。 技術書典4で同人誌を出すために「ワンストップ!技術同人誌を作ろう」を読んだ(良かった) - 今日のつちや

スケジュール感

当初、印刷所の締め切りから逆算しようとしていたんですが、 締切がある程度近づかないと分からないので諦めました。 直接搬入で5日前ぐらいまでに入稿すればOKそうだという感覚は掴んでいます。

実は自宅が携帯が圏外のド田舎なので、出版所から電話連絡が来ても出れない恐怖を抱えていまして、 いろいろ調べたんですがそんな情報どこにも無いんですよ(ここで問い合わせないところにコミュ力の低さを感じる)。 印刷所からの連絡は電話です(実際そうでしたし、外出中で良かった)。 電話取れないと怖いので、出来る限り前倒しで進めて、不測の事態に備えました。実際不測でしかなかったし。

実際の執筆作業ですが、次のようなスケジュール感で行いました。 最終的にねこのしっぽさんで印刷しました。

  • 1月頭:応募開始。応募してワンストップ本読んで書き始める。
  • 2月頭:当選発表。当選確定したので、イラストの依頼をした。
  • 2月末:自分の中でのざっくり書き終わりの締め切りだったが終わってない。
  • 3月中旬:ざっくり書き終わった。終わりが見えて安堵。名刺作ったことないので先に名刺を作って不安要素を潰しておいた。
  • 3月末:推敲が終わってレビューをお願いするなど。サークルカット用の画像だけ先に貰って、サークル情報を埋める。
  • 4/1:サークル情報の公開が始まる。
  • 4/8:表紙が完成。
  • 4/11:早期入稿完了。ダウンロードカードの制作を始める。
  • 4/18:通常入稿締切だがとくに何もしていない。本当に印刷されるかソワソワした結果問い合わせを投げる。
  • 4/19:キンコーズでおしながきを作る
  • 4/22:技術書典4当日 🎉

60ページ程度の本でしたが、執筆に4ヶ月弱かかりました。 とにかく言えることは前倒しで執筆しろです。まあそれができたら苦労はしないんですが・・・。

どうやって書いたか

執筆環境としてはRe:VIEWを使いました。レイアウトにこだわってないので実際楽でした。(次回はこだわりたい。) レイアウトでTeXが必要そうな場合は、ワンストップ本のソースコードを参考に書いてました。

内容ですが、私の場合はアプリ作成のハンズオン的な要素が強い本だったので、 メモを残しつつ一通りコードを書いてから、ガッと本文を書きました。 コードを書いてる最中に(あとでここに図を入れる)的なメモを残して、画像は後から。

最初にまえがきを書いたのですが、書いてるうちに無限に書きたいことが増えて、 後で全て書き直すことになりますのでやめたほうが良いです。

価格設定

実際一番悩んだところです。 考慮すべきことが非常に多かった。

  • 当日のオペレーションを楽にするために500円か1000円で頒布したい。
  • 60ページ100部を500円で頒布すると印刷費用でトントン。
  • 刷れば刷るほど1冊あたりの費用は下がるが、爆死が怖いので100部程度の数にしたい。
  • そもそも500円で頒布すると新幹線代で赤字になってしまう。
  • もっと価格をあげるにしても、オペレーションを考えると1000円になる。気持ち高い。
  • 後に電子書籍版を500円で販売予定だったので、物理本を500円で頒布するのが微妙。

最終的に物理本にダウンロードカードを付けて1000円で頒布しました。商品はセットのみです。 自分の中では物理本800円、DL版500円として、両方セットで1000円ぐらいの感覚でした。

セットにして商品を1点にしたのは初参加で当日オペレーションをとにかく楽にしたかったからです。実際楽でした。

終わってからちゃんと計算したんですが、 イラスト費や売り子さんへの報酬、岐阜からの交通費・宿泊費、名刺等の雑費などなどを計算したらギリギリでした。 赤字覚悟で初めたんですが、黒字だと執筆自体続けやすいので、大変ありがたいです。

購入していただいた方には頭があがりません。本当にありがとうございます。

宣伝戦略と被チェック数

当日必要なものを作る度に、宣伝も兼ねてツイートしてました。 露骨に宣伝しまくるのも嫌だったので、だいたい1週間に1回程度で、次のタイミングで行いました。

  • サークル情報ページの公開後
  • ダウンロードカード作成時
  • おしながき作成時
  • 開催直前

被チェック数の推移はこんな感じでした。 早期入稿時に50だったのでx3で150部印刷しましたが、最終的な被チェック数は245でした

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毎日データ取ってません。過去のツイッターの発言から分かる日だけ引っ張り出して、間は適当に補間した結果ですが、 前日にぐんぐん伸びて当日もぐんぐん伸びました。

全然数足りなくて、売り切れちゃってごめんなさいってずっと言ってました。

完売したよ

2時間で物理本150部、完売しました。 ありがとうございました。

つらかったこと

地方に住んでいるともくもく執筆会や宣伝LTイベントに参加できないのが歯がゆい感じでした。 その分Twitterでの拡散を頑張りましたが。 あとは新幹線往復交通費はやっぱり手痛いですね。

やっておくべきこと

名刺を作りましょう。 私は調子に乗ってシール名刺を作って遊んでましたが、そんなに凝らなくていいと思います。 アイコンとプロフィールだけでもシンプルで十分サマになります。

リハーサルしましょう。 リハーサルというのは、当日のブースを模して売り子の真似事を行うことです。 実際配置してみると分かるのですが、めっちゃ狭いのが分かります。

当日はポスターやら名刺やらそもそも頒布する本を机の上に置いたので、この限りではなかったのですが、 狭さを実感できたのは良かったです。

宣伝しよう。 本を執筆したり、名刺やおしながきを作るのも技術書典の活動の一部(後日譚書くまでが技術書典だよ!的な)ですし、 その活動をアウトプットするのは大きな宣伝になります。ちゃんと宣伝すればみんな見てくれます。宣伝をするのです。

良かったこと・嬉しかったこと

アンバサダーになった

私は Auth0 という日本であまり知られてないニッチなサービスに関する本を書いたのですが、 Auth0の中の人の目にとまり、本家公認のアンバサダーということで活動できることになりました。 あまりの変化で目が回っていますが、めっちゃうれしいですね。頑張ってやっていきます。

繋がりが増えた

技術書典の執筆活動中にお世話になった人がたくさんいて、 同じサークル出展者の人の間と繋がりが持てたので良かったです。 みんなで「書くぞ!」って言ってるのは励みになりました。 Twitterのフォロワーもめっちゃ増えたし。

経験値が増えた

自分の中の知識を体系立ててまとめて発信できる力が養われたと思います。 あと本を書いて売るということハードルが下がりました。 DTPの知識一切なかった半年前比べたら大きな進捗です。

今後

技術書典5に当選できるか分かりませんが、既にネタを数個考えています。

BOOTH

遠方の方で技術書典に行けないから是非電子書籍で売って欲しいとの声がありました。 さっそくBOOTHにて販売をしてますので、どうぞお買い求め下さい。

booth.pm

最後に言いたいこと

本当に自分の本出して大丈夫なんだろうか?という不安で書いていましたが、 結城氏のTwitterでの発言にだいぶ元気付けられました。

携帯の電波が来てなくたって技術書典で自分の本が出せる世の中です。みんなも怖がらずどしどし書くのだ。